こんにちは、3年以内で家族での海外移住を検討しているmikaです。
海外移住を夢見る中で「アメリカ」という選択肢は多くの日本人にとって憧れがあると思います。
しかし2022年歴史的なドル高、インフレ中のニュースでも連日報道されている通り物価が高騰し、円安の日本人にとっては移住はもちろん、旅行も行きづらい国になっています。
それでもアメリカは世界の中心という圧倒的な魅力により、惹きつけられる方も多いでしょう。
今回はアメリカへの移住を夢見る、検討している方に向けて、ビザ・永住権・物価・治安についてリアルな情報を探ってお届けします。
アメリカってこんな国
まずは外務省のデータをもとに、アメリカの基礎情報から見てみましょう。
位置:北米。カナダを挟んで上下に位置する。グアムやハワイなどもアメリカの一部。
面積:983万km² ※日本の約26倍
人口:約3億3,200万人 ※日本の約2.6倍
アメリカ在留の日本人:約43万人(2位の中国と30万人以上の差をつけ圧倒的世界トップ)
2021年時点で日本人の滞在が多い都市TOP5はこちらです。(参照:外務省 海外在留邦人数調査統計)
- ロサンゼルス都市圏:6.7万人
- ニューヨーク都市圏:4万人
- ホノルル:2.4万人
- サンフランシスコ都市圏:2万人
- サンノゼ(シリコンバレー中心地)都市圏:1.5万人
ロサンゼルスとニューヨークで4分の1を占めるんですね!
アメリカ生活の今を知る
アメリカ移住を検討するにあたって、必ず知っておきたい下記3点の現在の状況を見てみましょう。
- ビザ(永住権も含めて)
- 物価
- 治安
アメリカのビザ
アメリカは日本人であれば90日以内の渡航はESTA(エスタ)があれば誰でも滞在可能です。
ESTA:アメリカの電子渡航認証システム。アメリカ行きの飛行機に乗る前にESTAを取得していないと搭乗すら認められません。一度ESTAを取得すると2年間有効です。
観光目的または商用だとしてもお金が発生しない商談などはESTAでも大丈夫ですが、アメリカでお金を稼ぐためには90日以内だとしても就労ビザが必要になります。
例えば歌手を目指す人がESTAでアメリカ入国し、路上ライブをしてチップをもらうことも「お金稼ぎ」になるためNGになります!
移住となると仕事が必要ですので就労ビザの取得を目指すことになるでしょう。
アメリカの就労ビザ
まず結論から言うとアメリカの就労ビザの取得は非常に難しいです。
難しい中でも比較的利用されている主なものを見ていきます。
- H-1Bビザ(特殊技能職)
アメリカ企業が特殊技能を持った外国人専門家(例えば医師や建築家、弁護士、エンジニアなど)を雇うためのビザ。仕事が決まっている状態じゃないと申請できません。
多くの場合、大学時点でその特殊技能と関係する専攻を卒業している必要があります。医師なら医学部、弁護士なら法学部などですね。
私の専攻は「経営学」だったので、なかなか専門家に結びつきにくいなぁ…。
ただし申請すれば必ず通るようなものではありません。
毎年発行される枠数が決められていて、抽選でその枠に入れないと取れません。倍率は3倍程度です。
- L-1ビザ (企業内転勤者)
多国籍企業でアメリカに親会社、子会社、支店などがある場合に管理職や専門性の高い職種の社員を異動させる時に利用できるビザです。
大企業であればそこまで難しくないようですが、中小企業となると提出書類が増えたりと厳しい基準で判断されるようです。
採用されてすぐビザが取れるわけではなく、直近3年間に1年以上日本の会社で働いた実績がないと申請できません。
- E-1/E-2ビザ(駐在員)
E-1/E-2ビザはアメリカと通商条約を結んだ83の国の国民のみを対象としたビザです。
EビザにはE-1ビザ(貿易駐在員)とE-2ビザ(投資駐在員)があります。いずれも企業の幹部、管理職、あるいは事業にとって必要不可欠な特殊技能、専門知識がある方のみが対象です。
条件 | |
E-1 | 日本法人の米支店、あるいは50%以上の株式を日本法人が持つ米子会社への駐在員が対象。 アメリカの受入先が、取引高の50%超を日本と継続的(1度きりの取引だけはNG)に行う必要あり。 日本以外との取引が増え、対外貿易に占める日本比率が50%を下回った場合E-1ビザは無効。 |
E-2 | 日本法人が株式の50%超保有するアメリカ法人に最低10万ドル以上の事業投資をする必要あり。 |
L-1ビザは大企業向けという感じですが、Eビザは比較的中小企業でも取得を目指すことができるようです。
ただし相応の取引や投資の金額が必要になるので、中小でも一定以上の稼ぎがないと難しいですね。
私の夫はたまたまアメリカに子会社がある日本法人の管理職だけど、どのビザも条件キツそうかも…。L-1の抽選てのがなければ行けるのかも?
この厳しい就労ビザの条件を見ると、個人事業主やフリーランスの人が「ノマド的にアメリカで暮らしたい」というのは基本的には難しいでしょう。
永住権でノマドライフ in アメリカを実現?
就労ビザをとってアメリカで暮らすのは難しくても、永住権をとってしまえば「ノマド的な暮らし」をアメリカでも実現できるかもしれませんよね。
そんなビザより簡単に永住権なんて取れるわけない…いや、1つだけ方法があるんです。
それが「年に1回の抽選でアメリカの永住権が当たる」というDiversity Visa Program、略してDVです。
抽選で永住権が当たるとは、なんて画期的なプログラム!
過去5年間でアメリカへの永住権保持者が少ない約50カ国の国民が対象です。日本も対象国です。
現在募集しているDV-2024の要項を見ると、意外と下記のような主要国でも対象外だったりします。
対象外:中国、韓国、インド、イギリスなど
中国やインドは人口が多いから対象外もわかるけど、韓国やイギリスもなんですね!
条件としてはその他に高校卒業(または同等の就学実績)あるいは一定の期間、職業研修が必要な専門職に従事した経験が必要です。
アメリカ国務省領事局のサイトで毎年10月頃に応募フォームがオープンします。オンラインのみで応募可能です。(DV-2024の応募フォームはこちら)
応募は約1ヶ月で閉まってしまうので、気になる方はとりあえず応募しちゃいましょう!
試しに入力してみたら、パスポート申請時のような写真があれば、その他簡単なプロフィール入力で申請はサクッと終えられそうでした!
抽選に合格したら、必要な書類を準備して面接に進むことができます。
「過去に犯罪歴はあるか」「永住権取得後のアメリカで何をしたいか」などといった質問に答え、その面接結果がOKとなれば永住権の資格がもらえるようです。
面接に進めるのは当選者全員ではなく、当選番号が早い順で呼ばれます。
このプログラムの申請〜取得までの手続きが少し大変なため、当選しても手続きしない人も多く、約5万の永住権付与に対して当選者は倍程度いるそうです。
枠が埋まった時点で終了してしまうため、当選番号が早いか遅いかも重要なポイントです。
アメリカの永住権はDVの他に下記のパターンで取得するケースも多くあるようです。
- 家族関係
アメリカ人との結婚や、アメリカ国籍を持つ21歳以上の親になる(例えばアメリカで子供を産むと子供はアメリカ国籍を持てます)といった家族関係での申請も可能です。
- 仕事関係
日本法人で1年以上働いた後にアメリカの子会社または支社(日本法人が50%以上の株を持つ)で企業の幹部、管理職として働いているという場合に、アメリカの会社がサポートしてくれるという条件で申請することが可能です。
L-1ビザ、Eビザを取得している方がこれで会社のサポートをもらい、永住権取得に動くようです。
DVと比べるとどちらも申請できる人が非常に限られますね。
アメリカの物価
現在のアメリカは歴史的なインフレで非常に物価が高いという印象がありますが、果たしてどれほどなのでしょうか。
具体的なモノの費用をいくつか見ていきましょう。
家賃はどんどん高額に
アメリカではアパートを借りている場合、契約更新時に賃料がアップすることが通常だそうで、更新したいのに家賃の大幅な高騰で引越しを余儀無くされるというのが頻発しています。
アメリカの賃貸物件の情報を多く掲載しているRent.comによると、日本人の滞在が多い都市(※ホノルルの情報がなかったためTOP5のうちの4都市)の2022年8月時点の家賃相場は下記の通りです。
1ベッドルーム | 2ベッドルーム | |
ロサンゼルス | $2,763 | $4,489 |
ニューヨーク | $5,404 | $8,203 |
サンフランシスコ | $3,549 | $4,930 |
サンノゼ | $3,084 | $3,726 |
2022年10月現在、ドルのレートが150円目前ということでそれで計算してみると一番高いニューヨークは1ベッドルームでなんと810,600円/月です。
80万円はえげつないですね…!一生ニューヨークには住める気がしません(涙)
ニューヨークの家賃は前年比20~30%値上がりしているようで、現地在住の知人も引越しをせざる負えない状況に追い込まれていました。
しかしながらRent.comで実際に物件を探して見ると、ニューヨークでも中心部のマンハッタンは上記の通りですが、少し離れたブルックリンやクイーンズでは2ベッドルームで$2,000〜3,000程度でもそれなりに綺麗な物件が出てきました。
それでも今の円安では月30〜45万円はかかってしまいますが、めちゃくちゃ非現実的な額ではなくなりましたね。それだけの額を払ってでも住んでみたい街ではあります。
食費
アメリカではもともと高額な外食の料金に追加でチップが必要になるので、外食すると非常に高くつきます。
そのため以前までは「ランチはお弁当を持参」といったように自炊が安価と思われていましたが、最近は食料品の高騰により自炊すら高いと言われています。
高いとはいえ、果たしていくらくらい日本よりも高いんだろう?
全世界50万人の口コミで国別、街別の統計情報を公開しているサイトNumbeoから食費に関する日本(東京)とアメリカ(ロサンゼルスとニューヨーク)の比較データを見てみましょう。
東京 | ロサンゼルス | ニューヨーク | |
【外食】安いレストラン | 1,000円 | 19$(2,850円) | 25$(3,750円) |
【外食】中級レストラン2名/3品 | 6,000円 | 87$(13,050円) | 95$(14,250円) |
【外食】マクドナルド 1セット | 700円 | 10$(1,500円) | 10$(1,500円) |
水 1.5l(大きめペットボトル) | 133円 | 2$(300円) | 2.4$(360円) |
卵 12個入りパック | 260円 | 3.8$(570円) | 4$(600円) |
レタス 1個 | 200円 | 1.8$(270円) | 2.7(405円) |
どれもめちゃくちゃ高い…!
2〜3倍はアメリカの方が高いですね。
仮に移住するとして外食はまだ諦められますが、食材ですら高いとなると生活を続けるだけでも大変ですね。
その他生活費
家賃、食費以外のその他の生活に関わるモノの費用も同じように比較して見てみましょう。
東京 | ロサンゼルス | ニューヨーク | |
タクシー初乗り | 470円 | 4$(600円) | 4.25$(638円) |
ガソリン1L | 166円 | 1.6$(240円) | 1.3$(195円) |
wifi代/月 | 4,414円 | 69$(10,350円) | 69$(10,350円) |
保育園料金/月 | 74,375円 | 1,361$(204,150円) | 2,265$(339,750円) |
映画 | 1,800円 | 16$(2,400円) | 18$(2,700円) |
日常的に利用する交通手段としてタクシーやガソリンは意外とあまり変わりませんでした。映画やwifi代も単価が高いものではないのでまだ利用できそうです。
何と言っても保育料の高さハンパない!!! アメリカの物価高は本物ですね…。
保育料だけで月の稼ぎがほとんど無くなってしまう!
給与水準は上がっている?
凄まじい物価高ですが、それでもアメリカ人が暮らしていけるのは給与水準が上がっているからとよく聞きますよね。
モノの値段と同様に、月の税引後給与も日本と比べてみました。
東京 | ロサンゼルス | ニューヨーク | |
給与 | 387,600円 | 5,414$(812,100円) | 5,983$(897,450円) |
税引後で2倍以上も差があるなんて…!
平均だけではなく最低賃金の水準も上がっており、東京では2022年10月時点で時給1072円ですが、JETROによるとロサンゼルスでは16.04$(約2,406円)とこちらも2倍以上の差が開いています。
日本でフリーランス的に一定の稼ぎがある人がアメリカに移住したとしても、単価感が異なるので生活するだけでもかなり厳しそうですね。
アメリカ移住の治安
世界の中でも特に平和と言われる日本で暮らしていると、日常的に身の危険を感じることはほとんどありませんが、「THE 銃社会」のアメリカでは至る所に危険が潜んでいます。
国別の人口の数に対しての犯罪数を算出した犯罪率の統計を見ると、約150カ国中、日本は下位(犯罪が少ない)10位以内にランクインしているのに対し、アメリカは56位と比較的高い順位です。
なるべく治安の悪いところには行かないようにしないとですね…。
治安の悪いところを知る方法
治安の悪いところに近づかないようにしたくても、どこらへんが良くて悪いのか、異国に訪れたばかりの頃はあまり検討がつきません。
そんな方でも「アメリカのどこで犯罪数が多いのか」が簡単にオンラインで分かるサイトがあるのでいくつか紹介します。
市の名前や、住所を入力するとマップ上からどんな犯罪が起きたのかを確認することができます。
例えばロサンゼルス付近のマップを見てみると右上と右下に色のついた丸が点在していますが、これが1つの犯罪を表しています。
めちゃくちゃ大量の丸が…犯罪の数の多さがわかりますね。
丸をクリックすると具体的にどんな犯罪だったのか、内容と住所が確認できます。
アメリカ司法省が運営している性犯罪者が住んでいる場所がマップ上で分かるサイトです。犯罪者の顔写真まで掲載されているので、この顔を見たら逃げる! と記憶しておくこともできます。
ビバリーヒルズをマップで見てみると、これだけ赤い表示が出てきました。
赤い表示は全て性犯罪者の住所を表しています。
アメリカに住むことが決まったら、確実に犯罪者マップをチェックしてから住まい探しをした方が良さそうですね。
まとめ
アメリカについて調べて思ったことは、やはり今の日本人にとってなかなか移住の難しい国であるということです。
とはいえ日本からの移住者は世界で1番多いので、難しくても実現している人がたくさんいるはずですが、それでも特に物価の面で円安も重なりハードルが鬼高いです。(どうやりくりしてるんだろう…)
私たち家族の場合は夫の仕事的にビザは取れる可能性がありますが、いつか金銭的に可能な時期が来たら移住も検討してみたいと思います。