こんにちは、3年以内に家族での海外移住を検討しているmikaです。
日本人の夢見る海外移住先として「シンガポール」を挙げる方も多いと思います。
オリエンタルラジオの中田敦彦さんをはじめ、日本人の有名経営者や、日系企業の駐在員も多く住んでいる印象です。
そんな「シンガポール」を海外移住先として検討している方向けに、ビザの取得条件や物価、言語、生活環境の面からメリットデメリットを調査してご紹介します。
実の妹夫婦が現在シンガポールに住んでいるので、制度面はもちろん、リアルな生活話をお届けします!
シンガポールってどんな国?
まずは外務省のデータをもとに、シンガポールの基礎情報から見てみましょう。
位置:東南アジア。マレーシアと隣接。インドネシアとも近い。
民族:中華系76%、マレー系15%、インド系7.5%。
言語:国語はなんとマレー語! 英語、中国語、タミール語も公用語。
シンガポールに仕事で出張した時、街中で見る・聞く言語は中国語だったから、国語は中国語だと思ってた!
面積:720km²
※よくほぼ同じとして比較される東京都23区は622km²、ちなみに琵琶湖は670km²。
人口:569万人
シンガポール在留の日本人:36,797人
東京都23区の人口は約971万人いるみたい。同じくらいの面積だけど、人口密度は東京より全然低いんですね。
シンガポールへの海外移住
シンガポールは在留日本人数でいうと11番目に多い国です。
面積としては小さいけれど、それだけ日本人が多く住んでいるとなれば海外移住先の候補地として情報を知りたいですよね。
- ビザ
- 物価
- 言語
- 日々の生活
について紐解いていきましょう。
シンガポールの教育事情については別の記事で詳しく解説しているので、子育て世代の方は併せてこちらもご覧ください。
妹夫婦も含めた移住者3組に聞いたリアルなお金事情が気になる方はこちらもご覧ください。
ビザは取りやすいか
シンガポールでは就労ビザの取得がなかなか困難と知られています。
日本人がシンガポールで働く場合に取得することが多い就労ビザをいくつか見てみましょう。
日本人の駐在員の多くはEmployment Pass(EP)
Employment Pass、通称EPを取得するのに必要な最低条件は以下の通りです。
・固定給が少なくとも5,000SGD/月以上
・マネジメントレイヤーもしくは高い専門性
・十分な学歴(大学卒以上)
・通常2年まで(更新可)
2022年10月時点でシンガポールドルは円換算で約100円なので固定給50万円/月は最低でも企業側が出さないといけないということですね。
ちなみに必要な固定給の水準は年齢とともに徐々にアップし、40代半ばであれば10,500SGD/月となるようです。
年齢高めの駐在員の人はなかなか良いお給料をもらっていそうですね…羨ましい!
EPを取得できた場合、配偶者や子供など家族もDependant’s Pass(DP)というビザで帯同ができます。ただしその場合は固定給の最低水準が上がり、6,000SGD/月以上が必要です。
現地採用などで適用されるS Pass
EPの次によく利用されるのがS Passです。
・固定給が少なくとも3,000SGD/月以上
・もう少しでマネジメントレイヤーくらいの中級社員クラス
・企業がシンガポール人を一定数採用している場合のみ、S Pass採用枠が与えられる
・通常2年まで(更新可)
S Passで採用できる人数は限られており、サービス業なら全従業員の10% 、そのほかの業種では18%と定められています。
さらに企業側は外国人労働者を雇用することによる税金が課せられます。
企業側が採用できる条件が結構厳しいですね。
S Passの場合もDPで家族が帯同できますが、こちらでも固定給の最低水準が上がり、EP同様に6,000SGD/月以上が必要です。
その他の主な就労ビザ
EPやS Passが一般的に利用される主な就労ビザですが、その他にも日本人が利用できる就労ビザがいくつかあります。
ビザ | 内容 |
Work Permit(WP) | ・最低賃金なし ・限られた業種のみ発行(サービス業や建設業など) ・EPやSPassの帯同家族が働きたいときDPビザからWPへ変更取得するパターンあり |
Personalised Employment Pass(PEP) | ・ビザ申請時点で海外で固定給が18,000SGD/月以上orEPで12,000SGD/月以上 ・複数の会社で勤務可能、失業しても期間内ならビザ返納不要 ・生涯に1度きり6ヶ月まで。延長不可 |
Work Holiday Pass | ・ワーキングホリデーをする18歳以上26歳未満の若者 ・大学卒または在学中 ・6ヶ月まで。延長不可 |
Entre Pass | ・起業家向け ・シンガポール政府公認のアクセラレーター、インキュベーターの合格者またはVCからの調達者 ・起業後にシンガポール人の雇用をする必要あり ・1年まで。更新可能 |
現実的にシンガポールでビザを取得するなら
実際のところ、海外移住をしようと考えて取得する就労ビザは
- Employment Pass(EP)
- S Pass
- 年齢が対象であればWork Holiday Pass
- 帯同家族ならWork Permit(WP)
が現実的なところでしょう。
シンガポールへ移住した私の妹夫婦は2人とも就労ビザを取得しており、1人は駐在員としてEPを、1人は現地採用でS Passで滞在しています。
近年シンガポールでは海外からの移住が増えたことで現地人の働き口減少が問題視されており、ビザの審査が厳格化しています。
そのため最低条件がOKでも審査に通らないこともあるそうです。
妹夫婦も駐在員に選ばれた後もビザの許可が下りるまで「本当に行けるのかな」とかなりソワソワしてました…。
年齢や職歴だけでなく卒業した大学のランクなどでも判断されるそうです。シンガポールも学歴社会なのですね。
物価は日本と比較してどうか
個人的にシンガポールの物価は東南アジアの中ではとても高く、日本よりも高いという印象がありました。
実際は物価が「高い」ものと「高くはない(日本とそう変わらない)」もの、比較的「安い」ものが混在しているようです。
「高い」ものと「安い」ものの具体例を挙げて見てみましょう。
- 家賃
- 車
- お酒
- タバコ
- 交通料金
「高くはない」ものでいうと、スーパーで購入するような食材や外食費は、場所を選べば日本とそう変わらない印象です。
ここからは物価が高いもの、安いものを詳しくみていきましょう。
物価が高いもの
- 家賃
シンガポールでの住まいは「HDB」という政府公営の集合住宅と「コンドミニアム」というプライベートな集合住宅があります。
HDB:
シンガポール国民に対して安い家賃で提供されている。プールやジムなどのサービスがない。
コンドミニアム:
誰でも住むことができるが家賃が高い。プールやジム、駐車場なども整備されている。
基本的に私たち日本人が住まいを探すという場合は「コンドミニアム」を検討することになりますね。
シンガポールの物件サイト「PropertyGuru」で調べて見ると1ベッドルーム(だいたい1LDKくらい)は安くて3,000SGD/月くらい、平均的には4,000SGD/月くらいはしそうでした。
1,500SGD/月くらいの安いのがあるぞ! と思って見てみると家が共用で1つの部屋だけを貸し出すシェアハウスタイプ。1人で移住という場合はありかも。
私たちは3人家族なので2ベッドルーム(だいたい2LDKくらい)は必要かなと思うと、少なくとも4,000SGD/月くらい、平均的には5,000SGD/月くらいしそうです。
円安というのもあり、1SGDが100円として計算すると月40〜50万円になります。
日本でプール、ジム、駐車場付きの物件がそもそも都内にあまりなさそうなので比較が難しいですが、例えば山手線圏内の2LDK以上の賃貸を探すと月15~30万円でたくさん見つかります。
豪華なサービスは付いているものの、シンガポールの家賃は相対的に高そうですね。
- 車
シンガポールでは車を所有できる人数が限られており、車を買う前に「車両所有権(Certificate of Entitlement略してCOE)」を国から購入する必要があります。
車両所有権に加えて車自体の金額も高額に設定されています。
例えばTOYOTAのアルファード ハイブリッドを新車で購入するとCOE込みで266,620SGDです(2022年8月時点、参考:シンガポール政府)
1SGDが100円として計算すると、なんと2,666万円になります。
日本では一番良いスペックのアルファード ハイブリッドで約760万円でした。
シンガポールから見ると外車になるとは言え、めちゃくちゃ高い…!
現在移住している私の妹夫婦曰く、シンガポールでは車を持っている人はお金持ちか、社用車が用意されている駐在員という感じらしいですよ。
- お酒
シンガポールではお酒の度数に応じて税が決まるため、強いお酒ほど金額が高くなります。
そのため比較的アルコール度数の低いビールなどはスーパーで買うぶんには日本とあまり変わりません。
ウイスキーなどアルコール度数が高いお酒は日本の価格の5倍、10倍になってしまうケースもあるようです。
アルコール度数が高いお酒が高級となると、泥酔する人も少なそうですね。
- タバコ
シンガポールでは国として喫煙率を下げるため、タバコには重税が課されています。
統計会社Satistaの調査によると2021年時点でシンガポールのタバコ1箱の平均価格は13.06SGD。1SGDが100円として計算すると、1,306円です。
私が喫煙者ではないので、あまり詳しくありませんが日本のタバコの値段を調べると500〜600円程度でした。2倍以上も差がありますね。
さらにシンガポールでは電子タバコを所持しているだけでも罰金の対象ということなので、喫煙者の方には結構辛いものがありそうです。
タバコの口寂しさを紛らわすためにガムを噛むという人もいますが、シンガポールではガムも所持しているだけで罰金対象です!
物価が安いもの
- 交通料金
シンガポールでは車の値段がとても高くお金持ち向けです。
そのため、一般市民の移動手段として電車やバス、タクシーは比較的安く設定されています。
- 電車(地下鉄MRT):1〜2SGDで利用可能。未就学児は無料。
- バス:1〜3SGDで利用可能。未就学児は無料。
- タクシー:初乗り3.7SGD
電車やバスは日本と比べてそこまで安くないかも。日本と同じく未就学児無料はありがたい!
タクシーはシンガポールの他の物価から見ると非常に安いですね。気軽に使えそうです。
言語は英語で問題ない?
私はメーカーに勤務していた際、シンガポール支店の同僚と日常的にオンライン会議をしたり、年1回程度実際にシンガポールに出張していました。
当時のシンガポールの同僚と私の会話は基本的に英語でしたが、現地人同士の会話は9割中国語で1割英語くらいの感覚で話していました。
ショッピング街をブラブラしていた時も基本的に最初は中国語で話しかけられました。
中華系が人口全体で約8割ということもあり、中国語の方が馴染みがあるのかなという印象です。
公用語がマレー語ということですが、実際のところ中国語の方が広く使われているのでは(!?)と思います。
このように英語が1番はじめに出てくるわけではないですが、どこに行っても英語は通じます。
ただしイントネーションや文法がシンガポール流の「シングリッシュ」なので、聞き慣れない人はかなり戸惑うかもしれません。
あれ文法間違ってない? と最初は思っていましたが、「シングリッシュ」ではそれが正解なのです。細かいことは気にせずいきましょう。
日々の生活について
その他の生活面に影響がありそうな点を見てみましょう。
気温はずっと夏
日本と比べて大きく異なるのが四季がなく、基本的にずっと夏という点です。
夏の気温だけどクリスマスにはツリーが飾られるそうです。違和感あるな…。
平均気温は26度前後で日本でいう春と秋の暑い日、夏の少し涼しい日が年間通して続きます。
ただし湿度は85%前後なので、日本の夏の湿度が60~70%ということを踏まえるとなかなか蒸し暑い気候であるということがわかります。
高層階でも虫が出る
蒸し暑いとなると、気になるのがゴキブリをはじめとした「虫」問題。
高層階に住んでいてもダストシュートや排水溝の中を上がってきて出現するそうです。
定期的にペストコントロール(害虫駆除)されているところも多いようですが、高温多湿の東南アジアの気候だとどうしても見る回数は多くなりそうですね。
妹の友人(高層階住み)の話では寝てる間に顔にGがついたという恐ろしい事件も…。
日本の食品・生活用品が購入可能
シンガポールには激安の殿堂「ドンキホーテ」やお値段以上「ニトリ」など日本のコスパの良い量販店が進出しています。
使い慣れた日本製品が手軽に購入できるのはとても便利ですね。
ドン・キホーテの中には日本の食品はもちろん、日本食専門のフードコートもあるとのことなので、故郷の味が恋しくなった時の拠り所になってくれそうです。
税金が安い
シンガポールは日本含めた諸外国と比較して所得税が安く設定されています。
所得が一定より高い場合、日本では最大45%が所得税として差し引かれてしまいますが、シンガポールでは最大税率が22%と日本の約半分です。
その他にも贈与税がかからないなど税金メリットが大きいのは嬉しいポイントです。
税金についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください!
まとめ
こうして調べてわかったことは、シンガポールを海外移住先候補として考えた時に、最も懸念になりそうなのが「家賃の高さ」だと思いました。
ビザは現地採用でも働き口が見つかれば何とかなりそうですが、現地採用となると家賃補助がありません。ここが駐在員とお金持ち以外が移住しにくいポイントですね。
私たち家族の場合は駐在員を目指すのは現状からするとかなり遠い目標になってしまうので、シンガポール移住は残念ながら難しそうです。